ゲームを購入する前にSteam公式やProton DB、Wine HQとこちらで実際に動作確認した表で確認しておくと良いでしょう。
◇Proton・Wineで動作するゲーム・アプリ対応表
https://vsrx.work/steam.html
[更新情報]
- Sword Art Online: Lost Songを追加
◇Steam PlayやWineでWindowsゲームを動作させる手順
1.Linux版Steamをインストール、設定で「サポートされたタイトルでSteam Playを有効化」「他のすべてのタイトルでSteam Playを有効化」にチェックを入れます。「他のタイトルに使用するツール」でProtonを選ぶ事が出来ます。Proton Exprementalを選ぶと、新しいパッチが適用されたProton ExperimentalブランチのProtonが使用出来るので、これを選びます。
2.Wineでソフトを動かしたい場合は、Wineをインストールします。winecfgを立ち上げた時にMonoなどのインストールが促されますが、指示通りにインストールします。
3.Steamで販売されているWindows用のゲームを購入する前に、Steam Playで動作するかどうかを確認しておいてください。
Steam公式の各ゲームの紹介ページにSteam Deckで動作するかどうかが書かれています。動作する場合は、特に何もしなくてもSteam Play上でも動きます。
4.次に確認するのは、Proton DBとWine HQです。
https://www.protondb.com/ (Proton DB)
https://www.winehq.org/ (Wine HQ)
Proton DBは、ユーザーが実際に動作させてみた情報が載っています。次のようなレートで分けられています。
NATIVE - Linux上でそのまま動作可能
PLATINUM - Windows環境と同様にソフトが問題なく動作
GOLD - 若干の設定変更が必要(多くは起動オプションの追加のみ)
SILVER - 古いバージョンのProtonでは動作したり、ムービー再生にWinetricksを使ってツール・ライブラリのインストールが必要
BRONZE - 動作はするものの、クラッシュが頻繁に起こったりする。環境依存で動作しない事も多い
BORKED - 動作不可
Wine HQは、Windows APIレイヤー「Wine」の公式ページでソフトウェアの動作報告がデータベース化されています。
◇Wineで動作させた時の環境
[環境]
・Ubuntu 22.04.1 LTS及びこれをベースにしたディストリビューション各種
・64bit版Wine-stable 7.0.0など
・winetricks
・Windowsのバージョンを「Windows 7」「Windows 10」に設定
・PlayOnLinuxやLutrisなどのフロントエンドアプリは使わない。環境は、WINEPREFIXで切り分け。必要に応じてWINEARCH=win32で32bit環境を作成。基本的には64bit環境。
以下は、上記のソフトウェアをSteam PlayやWineで動作させる為の基本的な情報をまとめました。
◇Linux版Steam(Steam Play)の公式Protonで動作しない場合は、カスタムProton「Proton GE」を使う
Windows向けに開発されたゲームがゲームプラットフォーム「Steam」で数多く配信されて久しいです。Linux環境においても、ValveはCodeWeaversと共同開発している、Steamに最適化・派生したWine(WindowsのAPIを移植したAPIレイヤー)であるProtonを提供しており、Proton経由でWindowsゲームを快適に動作させる事が可能になっています。但し、ゲームによってはプロパティから設定出来る起動オプションの設定が必要な事があります。
Proton経由でゲームを動作させる時に、各ディストリビューション向けの公式カーネルよりもカスタムカーネルを使った方が良い場合があります。Wine/Proton向けのfutexのパッチを適用したり、CPUスケジューラーを変更出来たり、レスポンスを高めたりなど通常のカーネルよりもゲーム環境が快適になる事が多いです。
より多くのゲームを動作させたい場合は、カスタムProton「Proton GE」を導入します。
https://github.com/GloriousEggroll/proton-ge-custom
https://github.com/GloriousEggroll/proton-ge-custom/releases
◇Linux版Steamの起動オプション
https://github.com/ValveSoftware/Proton
Linux版SteamのProtonはデフォルトで、VulkanベースのDXVKを使って描写をするようになっていますが、3Dゲームの中には、テクスチャーが表示されないなどの表示の不具合が出る事があります。対策として、OpenGLベースのWine3Dを使う事で問題を回避する事が可能です。但し、Wine3DはUHD630で使うと描写が遅くなるので、別途グラフィックボードを用意した方が良いでしょう。UHD630で描画したい場合は、DXVKは極めて高速に描画してくれるので、多少の不具合を無視出来るなら一つの選択肢として良いです。
Wine3Dを使う起動オプションは以下のようになります。
PROTON_USE_WINED3D=1 %command%
esyncやfsyncを使う事で起動出来ない事があります。その場合には、以下の起動オプションを使ってください。
PROTON_NO_ESYNC=1 PROTON_NO_FSYNC=1 %command%
◎Linux版Steamでは無く、システムにWine(Windows APIレイヤー)をインストールしてシステムから起動出来るゲーム・ソフトウェア
Wineは、Linux上でWindowsのソフトウェアを動作させる為のAPIレイヤーです。
市販ソフトウェアでインストール時にDVD-ROMが必要になる物が多いので、ディスクをDVD-ROMドライブに設置したり、DVD-ROMをISO化してFurius ISO mountなどで仮想ドライブとしてマウント、あるいは、中身を任意のディレクトリに入れて、Wineの設定画面でディレクトリを直接指定してインストールします。
この方法は、必ず成功するとは限りません。
また、同人ソフトは、インストーラーでインストールする物が多くありますが、直接実行ファイルを起動させるタイプの方が起動確率は高いです。