昔のLinux環境は、Linuxネイティブなゲームしか満足に動作しませんでした。しかし、Windows APIレイヤー「Wine」がアップグレードし続けて、非常に多くのWindowsゲームが動作するようになり、ゲームエミュレーターもWindows版に負けないぐらい完成度が高まってきました。
Linux上でゲームをする場合は、ゲームエミュレーターを使うか、Linux版Steamを使う事になります。Linuxネイティブのゲームも進化はしていますが、Windowsと比較するとバリエーションが乏しいのは否めません。
2020年現在のLinux上でのゲーム環境は、Steam・PlayOnLinux・PCSX2・PPSSPP・Lutrisで揃えられます。
◎Steam
お馴染みのゲーム配信プラットフォーム。Windows用のゲームが数多く配信されています。PS4/PS3などで発売されていたタイトルのPC版も購入する事が出来ます。Linux向けにもSteamクライアントが用意されており、これに搭載されているProtonというWineをフォークした互換環境を使ってWindowsのゲームを動作させる事が出来ます。
◇Steamクライアントダウンロードページ
https://store.steampowered.com/about/PPAは、Ubuntu 12.04 LTS用の物しかありませんが、Ubuntu 18.04 LTSでも動作しているので、一応使えます。
◇Steam PPA
https://www.ubuntuupdates.org/ppa/steamクライアントアプリをインストールして、Steamアカウントでログインすれば、Windows版と使い方は基本的に同じです。但し、決定的に違うのは、LinuxはProton経由でWindowsアプリを動作させる仕組みになっていますので、予め設定が必要です。
1.「Steam」→「設定」→「アカウント」→「ベータへの参加」を選択
2.「Steam」→「設定」→「Steam Play」→「Advanced」→「他のすべてのタイトルでSteam Playを有効化」にチェックを入れる。その後、Protonを選ぶ。
これで環境を整えられました。ゲームによっては動作しない事もありますので、Protonで動作するゲームに関するデータベースも存在します。
◇Proton DB
https://www.protondb.com/Proton DBで動作するのかどうかを調べてから、ソフトを購入するようにした方が良いです。
◎PlayOnLinux
海外ではPOLの略称で知られているWineのバージョン管理ツール。ゲーム毎の環境を作ったり、32bit環境と64bit環境を分けたりといった事が出来ます。ちょこちょこバグがありますが、慣れれば、結構便利なツールです。Ubuntuでは、PPA経由でインストール出来ますが、依存関係が面倒臭い事になりがちなので、バイナリ版をオススメします。
◇PlayOnLinux
https://www.playonlinux.com/en/download.html「All distributions」という項目にある物がどのようなLinuxディストリビューションでも使えるバイナリ版となります。バイナリを「chmod a+x」で実行出来る状態にすれば、ダブルクリックなどで起動させられます。別途Wineのインストールが必要ですが、deb版とは違って、Wineのインストールによる巻き添えを喰らわないというメリットがあります。Wine HQで公開されている物をインストールする時には、依存関係で悩まされるPlayOnLinuxですが、バイナリ版は依存関係は関係無いので安心してシステム側のWineを入れ替えられます。
僕は、主にSteamでは遊べない18禁ゲームや同人ソフト、各種ツール・ベンチマークソフトをPOLで管理するようにしています。POLが使いにくいという場合は、Lutrisという何でも管理が出来てしまうランチャーがありますので、そちらを使っても構いません。但し、POLで構築した環境をLutrisに丸ごと移行するのは結構大変ですので、既にPOLで環境構築している人はそのまま使った方が賢明です。
Wineで動作するソフトウェアを調べられるデータベースもあります。Proton DBと合わせて確認に使えます。
◇Wine HQ AppDB
https://appdb.winehq.org/◎Lutris
ゲームプラットフォームであり、ゲームランチャーとしても使えるソフトウェアです。SteamからWine、各種ゲームエミュレータまで何でも管理出来てしまう夢のようなツールですが、既に別の方法で環境が出来上がっている場合は、Lutrisへわざわざ環境を移すメリットは何もありません。一から始めて、全ての環境を一つにしておきたいという人には良いツールだと思います。
Ubuntuの場合は、PPA経由でインストールが出来ます。
◇Lutris
https://lutris.net/downloads/◎PCSX2
プレイステーション2のエミュレータです。Ubuntuの場合、PPAからインストールが出来ますが、依存関係によるトラブルが嫌な人は、AppImage版をオススメします。「chmod a+x」で実行権限を付けるだけで、ダブルクリックで起動可能になり、依存関係から開放されます。
BIOSとゲームISOが別途必要ですので、BIOSを実機から吸い出したり、購入したゲームをリッピングツールでISO化したりする作業が必要です。
◇PCSX2 AppImage版
https://github.com/ferion11/PCSX2_Appimage◇PCSX2 Daily Builds PPA
https://launchpad.net/~pcsx2-team/+archive/ubuntu/pcsx2-daily◎PPSSPP
PSPのエミュレータです。軽量ですが、ゲームによってはバグっています。普通に遊ぶ分には問題ありません。
Ubuntuの場合は、PPA経由でインストールします。BIOSは内蔵されていますが、ゲームROMに関しては、ハックしたPSPでUMDから吸い出す必要があります。
◇PPSSPP - stable version
https://launchpad.net/~ppsspp/+archive/ubuntu/stable紹介したソフトウェアで、Linux環境でもかなりゲーム環境を充実させられます。これら以外に、レトロゲーム用エミュレータとして
Mednafenを使っています。これは、ビルドが必要なので、ここでは取り上げませんでした。なかなか大変でしたけどね(^_^;)
使い分けとしては、以下のようになるかと思います。
Steam - PS4/PS3などゲームエミュレーターが存在していない、あるいは導入が難しいプラットフォームのPC版ゲームの導入
PlayOnLinux - Windows用の18禁ゲーム、同人ゲームや各種ツール、古いWindowsアプリケーションを動作させる
PCSX2 - PS2のゲームを動作させる
PPSSPP - PSPのゲームを動作させる
Mednafen - レトロゲーム(PS・SFC・メガドライブなど)を動作させる
Lutris - 上記ゲームプラットフォームを一元管理する
僕の場合は、Lutrisを使わずに、バラで環境を構築しました。注意する事は、Wineの新バージョンが出ても入れ替えようと思わない事です。大体環境が崩れて、ソフトが動作しなくなって困る事になります。
posted by takatan at 21:13| 大阪 ☁|
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