インテルからデスクトップ版第11世代Core iシリーズ(Rocket Lake-S)が発売されました。
◇Core i9-11900K、Core i7-11700K、Core i5-11600K速攻検証!Ryzenからシングルスレッド最速を奪還
https://ascii.jp/elem/000/004/049/4049336/
◇新コア設計でゲーム性能が向上した第11世代Coreを徹底ベンチマーク
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hothot/1315341.html
◇Rocket Lake-Sを試す - Core i9-11900KとCore i5-11600Kの性能を速攻テスト
https://news.mynavi.jp/article/20210330-1861567/
◇第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
https://www.4gamer.net/games/492/G049235/20210330031/
第10世代Core iシリーズの同コアモデルと比較すると大幅な性能アップをしているようで、AMDのRyzen 5000シリーズ(Zen3)の性能を超えるところまでは行きませんが、なかなか良い結果です。CINE BENCH R23では、Core i9-11900KとCore i9-10900Kでは、Core i9-10900Kの方がマルチスレッド性能はやや高めとなっています。シングル性能は、Core i9-11900Kの方が大幅に高くなりました。
一方で、消費電力は大分高くなっており、PL1の設定をTDPに合わせる事で、それほど性能を落とさず、従来の簡易水冷クーラーや大型空冷クーラーが使える可能性はあります。設定次第で、Core i9-10900K相当の消費電力とCPU温度にはなるでしょう。
Core i9-11900Kの設定は、「DRAM Controller:DRAM Frequency Ratio=1:2」が丁度良いようです。Adaptive Boost Technologyを使うと、異常な消費電力になる割に、それほど性能が上がるというわけでも無さそう。
爆熱・凶悪な消費電力という揶揄はあると思いますが、同コア数のZen3に届いている部分も意外と多いので、14nmプロセスで作った製品が7nmプロセスで作った製品に大分近づいたという点で面白い存在だと思います。
第12世代Core i(Alder Lake-S)からは、デスクトップとモバイルは共通のCPUアーキテクチャーになります。Alder Lakeは製造プロセスルールが14nmから10nm Super Finに変更されます。また、ビッグコアとリトルコアのハイブリッド構成であり、ビッグコアであるGolden Coveは、今回のRocket Lake-Sよりも高性能となる予定です。Alder Lake-Sが出るのは今年下半期から2022年前半頃と思われるので、Rocket Lake-SはちょっとだけAlder Lake-Sのビッグコアを感じられるのではないかと思います。
Rocket Lake-Sでシングル性能を大幅に引き上げましたが、次のAlder Lake-Sはマルチスレッド性能が大幅に上がる世代です。AMDのRyzenが世代が上がる毎に大きく性能を伸ばしていますが、インテルも久しぶりにAMDのような性能アップサイクルに乗ってきそうな感じがします。
最近の記事
(09/26)PlayStation5 Proの性能とは
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2021年03月31日
2021年03月07日
2021年のミニタワーPCケース(13年前の製品)の改良(仮)
ミニタワーPCケースを再び改良していきます。まずは、フロントパネルの改造から少し行いました。
ミニタワーPCケースは、13年前に発売されたCentury CSI-1299GG。
https://www.century.co.jp/products/csi-1299gg.html
以前リメイクしたのは、2017年3月。
http://www.vsrx.work/article/445246234.html
ミニタワーケースに、以前購入したダイソーのガラスタイルとプレート、東急ハンズで買ったアルミパンチングボードを貼り付けました。
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2021年01月22日
バイオハザード ヴィレッジの発売日が決まったそうです
◇『バイオハザード ヴィレッジ』3rd Trailer
◇「バイオハザード ヴィレッジ」の発売日が2021年5月8日に決定。PS4とXbox One版の発売も
https://www.4gamer.net/games/512/G051226/20210122001/
バイオハザードシリーズの最新作「バイオハザード ヴィレッジ」の発売日が2021年5月8日に決まったそうです。最新トレーラー映像も公開されているので、ヴィレッジの雰囲気を感じられるでしょう。
プラットフォームは、PS5やXbox Series XやPCだけでなく、PS4やXbox Oneでも発売される事になりました。
◇「バイオハザード ヴィレッジ」の発売日が2021年5月8日に決定。PS4とXbox One版の発売も
https://www.4gamer.net/games/512/G051226/20210122001/
バイオハザードシリーズの最新作「バイオハザード ヴィレッジ」の発売日が2021年5月8日に決まったそうです。最新トレーラー映像も公開されているので、ヴィレッジの雰囲気を感じられるでしょう。
プラットフォームは、PS5やXbox Series XやPCだけでなく、PS4やXbox Oneでも発売される事になりました。
2020年12月10日
AlderLake-Sのbig.LITTLE構成はスマートフォン向けのSoCとは違って論理コアを増やす為の仕組み
◇Intel、2021年にCore/Atom両系統のCPUを搭載したクライアントPC向けCPU「Alder Lake」を投入へ
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1270784.html
Alder Lake-Sは、Rocket Lake-Sの次の世代であるので、2020年12月の時点ではあまり情報がありません。しかし、インテルが発表した内容からAlder Lake-Sが従来のプロセッサとは違うアプローチを取っているプロセッサである事が垣間見えます。
現在、Alder Lake-Sで分かっている事は、ビッグコアにGoldenCove、スモールコアにGracemontを各8コアずつ搭載したbig.LITTLE構成である事です。big.LITTLE構成は、モバイルプロセッサ「Lakefield」でSunnyCove 1コア、Tremontコア4コアで既に製品になっています。Lakefieldは、高負荷時にSunnyCoveが処理を行い、低負荷時には4つのTremontコアで処理をするというスマートフォンのSoCでお馴染みの動作になっていて、低消費電力端末向けに作られています。
一方で、Alder Lake-Sは、Lakefieldとは違って、スマートフォンのSoCのような動作も出来るけれど、もっとパフォーマンスを出す為にスモールコアを論理コアの扱いで動作させるというアクロバティックな方法になるようです。
この言葉の意味は、Alder LakeはカーネルのCPUスケジューラーでは無く、ハードウェアスケジューラでコントロールすると明言しているので、OS側の影響は案外軽微なのかもしれません。そして、ラジャ・コドリ氏は、「すべてのコアがシームレスに動くようになる」と言っています。これは、マルチスレッド性能が必要な時には、全コアが動作する事を示しています。
シングルスレッドが高いと思われるGoldenCoveはCove系コアであるので、どうしても大きなコアになり、これでは消費電力面や製造プロセス面でコアをたくさん設置する事は難しく、マルチスレッド性能を稼ぐ事は難しいです。AMDのRyzenはCCXとInfinity Fablicによって、CCXを増やす事でコア数を増やす事に成功していますが、これはTSMCの製造プロセスが大きく寄与しているから出来ています。
インテルの場合は、10nm以降の自社プロセスが遅延していた為、デスクトップ向けのプロセッサは14nmのままです。Alder Lake-Sでは10nmプロセスが成熟していますが、AMDのようなCCX追加策によるマルチスレッド性能向上のようなアプローチは難しいでしょう。そこで、Alder Lake-Sで考え出されたのが、「スモールコアをたくさん積んで論理コア扱いで使って、マルチスレッド性能を高めよう」というものです。
スモールコアであるGracemontはSandyBridge以上の性能があるAtom系コアで、Cove系コアと比べて消費電力が低く、サイズも小さいのが特徴です。これを論理コアとして使う事で、ビッグコアであるGoldenCoveが8コア16スレッドしかなくても、Gracemont8コアを追加する事で、「8コア24スレッド」を実現するというのが、Alder Lake-Sのアプローチのようです。
これが成功すると、AppleのM1並に今までのプロセッサの発想ががらりと変わる可能性を秘めています。ビッグコアはシングルスレッド重視にし、その代わり、製造プロセスの向上とスモールコアの大量搭載によってマルチスレッド性能を高めていく事が可能になるわけです。
CCXの追加とCCXの構成の変更でがんがんマルチスレッド性能を高めていくAMD、ビッグコアでシングル性能を高めつつ、スモールコアを追加していく事でマルチスレッド性能を高めていくインテル。
x86系プロセッサでも、面白い技術バトルが見られるようになって良いですね(^^)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1270784.html
Alder Lake-Sは、Rocket Lake-Sの次の世代であるので、2020年12月の時点ではあまり情報がありません。しかし、インテルが発表した内容からAlder Lake-Sが従来のプロセッサとは違うアプローチを取っているプロセッサである事が垣間見えます。
現在、Alder Lake-Sで分かっている事は、ビッグコアにGoldenCove、スモールコアにGracemontを各8コアずつ搭載したbig.LITTLE構成である事です。big.LITTLE構成は、モバイルプロセッサ「Lakefield」でSunnyCove 1コア、Tremontコア4コアで既に製品になっています。Lakefieldは、高負荷時にSunnyCoveが処理を行い、低負荷時には4つのTremontコアで処理をするというスマートフォンのSoCでお馴染みの動作になっていて、低消費電力端末向けに作られています。
一方で、Alder Lake-Sは、Lakefieldとは違って、スマートフォンのSoCのような動作も出来るけれど、もっとパフォーマンスを出す為にスモールコアを論理コアの扱いで動作させるというアクロバティックな方法になるようです。
コドリ氏は「Alder Lakeでは次世代のハードウェアスケジューラが搭載され、すべてのコアがシームレスに動くようになる」と述べ、どちらかといえば2つのコアが省電力方向に利用されているLakefiledとの大きな違いになる。
この言葉の意味は、Alder LakeはカーネルのCPUスケジューラーでは無く、ハードウェアスケジューラでコントロールすると明言しているので、OS側の影響は案外軽微なのかもしれません。そして、ラジャ・コドリ氏は、「すべてのコアがシームレスに動くようになる」と言っています。これは、マルチスレッド性能が必要な時には、全コアが動作する事を示しています。
シングルスレッドが高いと思われるGoldenCoveはCove系コアであるので、どうしても大きなコアになり、これでは消費電力面や製造プロセス面でコアをたくさん設置する事は難しく、マルチスレッド性能を稼ぐ事は難しいです。AMDのRyzenはCCXとInfinity Fablicによって、CCXを増やす事でコア数を増やす事に成功していますが、これはTSMCの製造プロセスが大きく寄与しているから出来ています。
インテルの場合は、10nm以降の自社プロセスが遅延していた為、デスクトップ向けのプロセッサは14nmのままです。Alder Lake-Sでは10nmプロセスが成熟していますが、AMDのようなCCX追加策によるマルチスレッド性能向上のようなアプローチは難しいでしょう。そこで、Alder Lake-Sで考え出されたのが、「スモールコアをたくさん積んで論理コア扱いで使って、マルチスレッド性能を高めよう」というものです。
スモールコアであるGracemontはSandyBridge以上の性能があるAtom系コアで、Cove系コアと比べて消費電力が低く、サイズも小さいのが特徴です。これを論理コアとして使う事で、ビッグコアであるGoldenCoveが8コア16スレッドしかなくても、Gracemont8コアを追加する事で、「8コア24スレッド」を実現するというのが、Alder Lake-Sのアプローチのようです。
これが成功すると、AppleのM1並に今までのプロセッサの発想ががらりと変わる可能性を秘めています。ビッグコアはシングルスレッド重視にし、その代わり、製造プロセスの向上とスモールコアの大量搭載によってマルチスレッド性能を高めていく事が可能になるわけです。
CCXの追加とCCXの構成の変更でがんがんマルチスレッド性能を高めていくAMD、ビッグコアでシングル性能を高めつつ、スモールコアを追加していく事でマルチスレッド性能を高めていくインテル。
x86系プロセッサでも、面白い技術バトルが見られるようになって良いですね(^^)
2020年12月09日
Ryzen風で言うと1CCX10コアを実現しているCore i 10900K/10850K/10900
よく爆熱、AMDの第四世代・第三世代Ryzenよりもマルチスレッド性能が低いと言われるインテルのCore i 10900K/10850K/10900。しかし、インテルは14nmという製造プロセスの範囲で、Ryzenによく対抗出来ていると思います。インテルのプロセッサは、1つのCPUモジュールに最大8コアを搭載していましたが、Comet Lake-S世代では、ついに1つのCPUモジュールに10コアを搭載する事に成功しています。3次キャッシュを各CPUコアで共有して使えるので、構造的にはRyzenのCCX(Core Complex。CPUの最小単位)と同じで、Ryzen風に言うと1CCX10コアを実現してしまっています。
一方で、AMDは第三世代のRyzen(Zen2)までは1CCX4コアでしたが、第四世代のRyzen(Zen3)では、1CCX8コアを実現しました。その結果、IPCが20%近く向上しており、マルチスレッド性能やシングルスレッド性能が大幅に向上しました。Ryzenの16コアや12コアはCCXを2つ搭載して実現しており、この2つのCCXを接続しているのが、Infinity Fabricというバス技術です。このバス技術のおかげで、Ryzenはx86系プロセッサで最強のマルチスレッド性能を有する事になりました。
◇シングルスレッドでも最速。「Zen 3」採用の「Ryzen 5000」シリーズ徹底検証
https://www.gdm.or.jp/review/2020/1105/368230
◇Core i9-10900KとCore i7-10700K、Core i5-10600Kの性能を速攻検証
https://ascii.jp/elem/000/004/013/4013474/2/
こうして考えると、Core i9-10900K/10850K/10900の消費電力が高い理由も分かると思います。1CCX10コアでオールコアブーストクロック4.9GHzという凄まじい仕様では、仕方が無いでしょう。
では、似たような構成の第四世代Ryzen(Zen3)とCore i9-10900K/10850K/10900でシングルスレッドの性能に差が出た原因は何なのでしょうか?
1つ考えられるのは、第四世代Ryzenは1CCXに32MBの大容量3次キャッシュを搭載している事です。Zen2までは1CCX4コアだったので、実質1CCX当り16MBの3次キャッシュしか使えませんでした。インテルの場合、Core i9-9900Kの時点で8コアの1CPUモジュール当り3次キャッシュが16MBで、Ryzenの考え方で言い直すと1CCX8コアで16MBの3次キャッシュが使えていたという事になります。
ところが、Zen3で1CCX8コアになって、1CCX当り32MBの3次キャッシュが使えるようになった事で、1CPUモジュール当りの3次キャッシュの容量が大幅に逆転しています(Core i9-10900Kは3次キャッシュ20MB。即ち、CCX10コアで3次キャッシュ20MB共有に相当)。これが、Zen3がComet Lake-Sよりもシングル性能が上になった理由ではないかと思います。
2021年3月に登場するとされているRocket Lake-Sでは、1次キャッシュ・2次キャッシュの容量がSkyLake系時代よりも倍になっていますが、8コアの1CPUモジュールと3次キャッシュ16MB共有が最高となります。現在のところ、AMDはRyzenを1CCX16コア化するのはZen4以降と思われるので、インテルがRocketLake-Sで最大8コアに戻すのは、製造プロセスの遅延があるにしろ、CPUの構造上妥当な事に思えます。
このRocketLake-Sは、IceLakeのアーキテクチャーであるSunnyCoveを14nmにバックポートされた物である事が海外サイトで報じられています。つまり、RocketLake-SのCPUアーキテクチャー「Cypress Cove」は、次の世代のプロセッサであるAlderLake-Sのビッグコアのベースになると思われるので、リークされている内容を見る限りは、かなり消費電力が高くなりそうですが、AlderLake-Sのほんの一部分を体感するのには面白い世代でしょう。
一方で、AMDは第三世代のRyzen(Zen2)までは1CCX4コアでしたが、第四世代のRyzen(Zen3)では、1CCX8コアを実現しました。その結果、IPCが20%近く向上しており、マルチスレッド性能やシングルスレッド性能が大幅に向上しました。Ryzenの16コアや12コアはCCXを2つ搭載して実現しており、この2つのCCXを接続しているのが、Infinity Fabricというバス技術です。このバス技術のおかげで、Ryzenはx86系プロセッサで最強のマルチスレッド性能を有する事になりました。
◇シングルスレッドでも最速。「Zen 3」採用の「Ryzen 5000」シリーズ徹底検証
https://www.gdm.or.jp/review/2020/1105/368230
◇Core i9-10900KとCore i7-10700K、Core i5-10600Kの性能を速攻検証
https://ascii.jp/elem/000/004/013/4013474/2/
こうして考えると、Core i9-10900K/10850K/10900の消費電力が高い理由も分かると思います。1CCX10コアでオールコアブーストクロック4.9GHzという凄まじい仕様では、仕方が無いでしょう。
では、似たような構成の第四世代Ryzen(Zen3)とCore i9-10900K/10850K/10900でシングルスレッドの性能に差が出た原因は何なのでしょうか?
1つ考えられるのは、第四世代Ryzenは1CCXに32MBの大容量3次キャッシュを搭載している事です。Zen2までは1CCX4コアだったので、実質1CCX当り16MBの3次キャッシュしか使えませんでした。インテルの場合、Core i9-9900Kの時点で8コアの1CPUモジュール当り3次キャッシュが16MBで、Ryzenの考え方で言い直すと1CCX8コアで16MBの3次キャッシュが使えていたという事になります。
ところが、Zen3で1CCX8コアになって、1CCX当り32MBの3次キャッシュが使えるようになった事で、1CPUモジュール当りの3次キャッシュの容量が大幅に逆転しています(Core i9-10900Kは3次キャッシュ20MB。即ち、CCX10コアで3次キャッシュ20MB共有に相当)。これが、Zen3がComet Lake-Sよりもシングル性能が上になった理由ではないかと思います。
2021年3月に登場するとされているRocket Lake-Sでは、1次キャッシュ・2次キャッシュの容量がSkyLake系時代よりも倍になっていますが、8コアの1CPUモジュールと3次キャッシュ16MB共有が最高となります。現在のところ、AMDはRyzenを1CCX16コア化するのはZen4以降と思われるので、インテルがRocketLake-Sで最大8コアに戻すのは、製造プロセスの遅延があるにしろ、CPUの構造上妥当な事に思えます。
このRocketLake-Sは、IceLakeのアーキテクチャーであるSunnyCoveを14nmにバックポートされた物である事が海外サイトで報じられています。つまり、RocketLake-SのCPUアーキテクチャー「Cypress Cove」は、次の世代のプロセッサであるAlderLake-Sのビッグコアのベースになると思われるので、リークされている内容を見る限りは、かなり消費電力が高くなりそうですが、AlderLake-Sのほんの一部分を体感するのには面白い世代でしょう。